Mar, 2016: NxPC Live vol.23 @ Kata, Ebisu, Tokyo での最初のスプリント映像

「映像とレーザー描画に関連性を持たせ、1つの視覚表現ツールとして扱う」という目的で、プロジェクター映像を写すスクリーンやLEDディスプレイ等映像表現のキャンバスとなる対象の上に、重ねてレーザーを照射しています。映像とレーザー異なる周波数の光を重ねて扱う事で、映像表現に別のレイヤー(別の絵筆)を追加しているような効果を狙っています。サウンドシステムにツイーターを追加した というのと近い内容かもしれません。映像がマスターで、レーザーがスレイブ という関係でシステムを組んでいます。映像は主にVJ Kezzardrixくんが作っています。

映像+レーザーでやるコレを、Mandalay と呼んでいます。


経緯や想い

2015年頃、VJをやっている知人がどこかでプレイする時はよく遊びに行ってました。中でも前述のKezzardrixくんがプレイする時はほぼ毎回遊びに行っていました。彼のプレイ内容は毎回見どころが増えて行っていて素晴らしいなと思う一方で、現場の環境(主にプロジェクタの明るさや解像度)によっては突然映像が物凄くショボく見えてしまう事があって、それを理不尽に感じていました。

と同時に、とある御高名なVJの方は映像出力環境がショボかったらそもそもプレイをしない、又は自前機材やスクリーン一式を持っていって設置や調整まで徹底的に自分でやって自分が望む映像出力環境を作るという話を凄く納得出来た事がありました。必要なものが無ければ自分で作らねばいけない。

↑で感じた理不尽さを解決する為に大掛かりなセットを手弁当で用意するのは自分の体力的に現実的ではないので、手軽に現場に持っていける かつゲームチェンジングなツールか何かを導入して一刺ししたいな と思うようになり、冒頭のNxPC.Liveの誘いが来た時に今こそ冒頭のコンセプトの何かを作るべきだと思い、Kezzardrixくんに声を掛け、諸々一式をゴリリと作った。EtherDream, Helios, Pangolin系のアレコレ等優秀だったりお手軽だったりするDACはあるけども、映像が主語になるべきだと考えて自由度やレスポンス速度を最重要視して、昔石橋さんから聞いた話を素にopenlaseを使った。アンカーズラボの方々がやってた事比嘉さんのラッパーを使わせて頂いて、1日で全部できた。翌日神田くんがすぐ使えるようにシャトレー広尾に全部機材を残して1日テストしてもらい、その翌日本番でバッチリうまくいった。スモークを炊いていなかったので光軸が見えず、初見の人が見た時に何かよく分からない光が映像の上に居るぞ、、みたいな内容になったと思う。この時神田くんが作った、レーザーが、、、

  • Emitterになる
  • マスクを切る
  • 衝突判定になる
  • シューティングゲームのように何かを撃ち落とす(撃ち落とす対象物に向かってレーザーが伸びるような頂点を追加するのがキモ)

のパターンが今もMandalayの使い道として適切だと思いますかな、。後にホッシーによるレーザーの影表現や、永松くんのPoint Light芸も生まれた。

後述する参考事例を知った頃、自分でもレーザーを使ってみたいなと思ってた。2010年IAMASに入学した矢先、2018年現在もレーザー界で御高名なYamachang様がレーザー担いでIAMASに遊びに来てくれた。ここで初めてまともにレーザーを触る。ヤマチャンが持ってきてくれたレーザーにDSP同期の俺のユシンや山田さんと一緒にレーザーと触れ合う。いい思い出だなー。

当時キャリブレーションなんて言葉も知らなかったので、レーザーとプロジェクタの位置合わせを手動で頑張って、ユシンのjitterでCamera Feedbackをつくってレーザーに映像を被せて感心していた。直後に榛名湖Kvantを持ち込んだYamachangの現場のお手伝いも経験させてもらう。


参考事例

自分もレーザー使ってみたい!と思った初期衝動的な事例は以下の2つです。
(今思うと、これらのお陰で レーザー = 何かを描画したり縁取ったりするもの という固定観念を自分で自分に植え付けてしまった気がする。光軸を見せて空間演出をする一般的なレーザーショーデザインは逆にどうやったら良いのか全くわからない。)

L.A.S.E.R. Tag from Graffiti Research Lab

ハッカーとアーティストが手を組んだチームの2010年頃代表格ことGRLの事例。この頃GRLはグラフィティライター達が新しい手法をガンガン発明していた。L.A.S.E.R.Tagはその一例で2007年の作品。

やっている事はシンプルだけど、スケールの大きさ・やってる事と関わっている人達のバックグラウンドにまったくズレが無い感じ・すごい楽しいそうだなこの人達! という点で非常に好きでした。レーザーは面白そうだなと思ったきっかけ。

The Pollstream by Hehe

写真はコチラから拝借
汚染・公害にフォーカスをあてるプロジェクトシリーズの中の1作品。大気汚染の象徴である工場からの煙をFLIRサーモカメラで輪郭推定し、レーザーで縁取っている。PrixArs 2008 Golden Nica受賞作品。

こちらもやっている事はシンプルだけど、「道具本来の使用目的とは違う使い方を見出し組み合わす事で、問題意識を人に伝える・表現する為の手段として利用する」という様がまさにメディアアートのお手本のようだな、と当時メディアアートに興味を持った時分に思いました。

http://www.daito.ws/work/uvlaserfadeout.html


今までMandalayを持っていった場所